マウンテン&トレイルランニングを世界的ムーブメントへ

ITRAがプレスリリースを発表

世界陸連(World Athletics)のセバスチャン・コー会長は、2か月後にスペイン・カンフラン=ピレネーで開催される「世界マウンテン&トレイルランニング選手権(WMTRC 2025)」に向け、マウンテン&トレイルランニングが世界的な広がりを見せていると称賛しました。

史上最多となる80か国・1,700名のアスリートが参加する今回の大会は、耐久力と結束を祝う“世界的祭典”として、自然と人をつなぐ新たなムーブメントの象徴となります。

コー会長「世界的祭典になるだろう」

世界マウンテン&トレイルランニング選手権は、今回で3回目となる統合大会として、2025年9月24日(水)~28日(日)にスペイン北部・ピレネー山脈の小さな村カンフランで開催されます。

競技種目は「アップヒル」「クラシック」「U20」「ショートトレイル」「ロングトレイル」の5部門で、史上最多の80か国・1,700名のアスリートが出場予定です。

世界陸連(World Athletics)のセバスチャン・コー会長は、

「カンフランは強靭さ、探究心、そして人と人とのつながりを象徴する場所。2025年大会は、世界トップのオフロードランナーが一堂に会し、耐久力と結束を祝う真の世界的祭典となるだろう」

とコメントしました。

さらに、コー会長はマウンテン&トレイルランニングについて、

「自然や冒険、競技への情熱を共有する多様なコミュニティをつなぎ、エリート選手から市民ランナーまでを魅了する“世界的なムーブメント”へと急成長している」

と語り、競技の未来に大きな期待を寄せています。

また、スペイン教育・スポーツ大臣のピラール・アレグリア氏は、

「この大会はアラゴン・ピレネーを国際的に発信する絶好の機会。観光・経済・環境の可能性を示し、スポーツの力と環境保護、地方振興を融合させた模範的なイベントとなる」

と述べ、開催への期待を強調しました。

大会概要(予定)

  • 大会名:世界マウンテン&トレイルランニング選手権(WMTRC 2025)
  • 開催日程:2025年9月24日(水)~28日(日)
  • 開催地:スペイン・カンフラン=ピレネー
  • 主催:世界陸連(World Athletics)
  • 共催:WMRA(世界マウンテンランニング協会)、ITRA(国際トレイルランニング協会)、IAU(国際ウルトラランナーズ協会)、RFEA(スペイン陸上競技連盟)
  • 後援:スペイン国家スポーツ評議会(CSD)、アラゴン州政府、ウエスカ県議会(DPH)、カンフラン町
  • 競技種目:アップヒル/クラシック/U20/ショートトレイル/ロングトレイル
  • 参加予定:80か国・1,700名(過去最多)

世界マウンテン&トレイルランニング公式競技40周年

40年の歴史を祝して

 2025年6月20日、スペイン・カンフランクより、マウンテン&トレイルランニング競技の40年の歩みを称える公式リリースが発信されました。

 今年の9月25日、カンフランク=ピリネオスに世界中から80カ国・1,700人以上の選手が集い、マウンテンランニング公式競技の40年を記念する歴史的な世界選手権が開催されます。

スペインがこの大会を主催するのは今回が初めてであり、スペイン陸上競技連盟(RFEA)のもと、U20、アップヒル、クラシック、ショートトレイル、ロングトレイルの5種目すべてを網羅した統合世界選手権が実現します。

 この競技の歴史は1985年、イタリア南チロルの山岳地サン・ヴィジリオ・ディ・マレッベにて第1回マウンテンランニング世界選手権(当時の名称:ワールドトロフィー)が開催されたことから始まりました。主催は世界マウンテンランニング協会(WMRA)。それから約40年、今年9月、スペイン・ピレネー山脈でその頂点を迎えようとしています。

 当初はアルプスの斜面で始まったこの競技も、距離や年齢区分の拡張、関係機関との連携を経て、トレイルランニングとの統合に至りました。しかし変わらぬのは、選手が自らの脚力と心の力だけで山を登り、下るという“挑戦”の本質です。

 今回の大会は、その原点からの進化を象徴するもの。38人から始まったWMRA単独の大会が、今や約2,000人が参加する5種目の世界大会へと発展しました。現在は、WMRA、IAU(国際ウルトラランナーズ協会)、ITRA(国際トレイルランニング協会)の3団体による共同運営で、世界陸連(World Athletics)の傘下で行われています。スペインはこの記念すべき大会を誇りを持って初めて主催します。

世界マウンテン&トレイルランニング選手権の3つの時代

1985–2019:WMRAによる黎明期  登り(Uphill)、クラシック、ジュニア

 1984年、数か国のヨーロッパ陸連により設立された国際マウンテンランニング委員会(現WMRA)は、1985年にイタリア・サン・ヴィジリオで第1回大会を開催。1,000mを超える急登のみの「アップヒル」と、登り下りを組み合わせたハーフマラソン程度の「クラッシック」の2形式で交互に行われました。

 その後、6~8kmのジュニアレースが導入され、さらに「ロングディスタンス」形式(約45km)も追加されました。アンドレア・マイヤー、マルコ・デ・ガスペリ、ジョナサン・ワイアットといった名選手が、この時代の象徴となりました。

2007–2019:IAU・ITRAによる超長距離への拡張

 WMRAは2004年にSierre-Zinalでロングディスタンスを導入していましたが、真の「ウルトラ」時代の幕開けは2007年、IAUによる80kmのTrail世界選手権(アメリカ・テキサス)開催でした。

 2015年にはITRAも合流し、超長距離レースの地位を確立。スペインのルイス・アルベルト・エルナンドは3連覇(2016〜2018)を達成し、フランスのナタリー・モークレールは初の女子ダブルゴールド(2013・2015)を記録しました。

2019–2025:世界陸連による統合の時代

 2019年、世界陸連がマウンテン&トレイルランニングを正式に認定。WMRA・IAU・ITRAの協力により、隔年開催の統一世界選手権「WMTRC(World Mountain & Trail Running Championships)」が始動しました。

 第1回統合大会は新型コロナの影響で延期され、2022年11月にタイ・チェンマイで開催。以下の5種目すべてが一つの大会として実施されました。

• U20

• アップヒル

• クラッシック

• ショートトレイル(約45km)

• ロングトレイル(約80km)

 2023年はオーストリア・インスブルック/シュトゥーバイ、そして2025年はスペイン・カンフランク=ピリネオスに舞台を移します。

王者たちの系譜 ― 4人の伝説的アスリート

 過去40年で、世界の舞台を彩った4人の選手がいます。

アンドレア・マイヤー(オーストリア)

WMRA最多8度の世界王者。2024年Uphillでも優勝。

ジョナサン・ワイアット(ニュージーランド)

クラシック形式で6度の世界制覇を成し遂げた伝説的存在。

マルコ・デ・ガスペリ(イタリア)

ワイアットの最大のライバルであり、技巧派ランナーの象徴。

ルイス・アルベルト・エルナンド(スペイン)

IAU/ITRA体制のウルトラ競技で3連覇を果たした王者。

カンフランク=ピリネオス2025へ向けて

 1985年の小さな山村での始まりから、マウンテンとトレイル、スピードと持久力、若さと経験が交差する世界規模の競技へと成長してきたこの選手権。その原点には、すべての選手の汗と挑戦の軌跡があります。

 2025年9月、カンフランクの地で新たな章が始まります。サン・ヴィジリオで火が灯された夢、そしてマイヤー、ワイアット、デ・ガスペリ、エルナンドらが築いた栄光を讃えながら。

WMTRC 2025 プレスオフィスマネージャー

出典 ITRA